早朝 学生寮屋上にて

青く澄んだ空を見上げている一人の金髪の青年は、誰も居ない静かな学生寮の屋上で気難しそうな顔をしていた。
肩まで伸びた長い金髪は風でユラユラと揺れている。

「能力育成専門高等学校ねぇ…」
俯きながら青年は呟いた

能力育成専門高等学校  星盟学園
全国から集めた中学を卒業した子供を集め超能力の覚醒、育成を行う謎で奇怪な高校である。
そんな危なっかしい高校に行く者など居るのか?と、思う人も多いことだろう。

だが、現に居るのだ

星盟学園はトップ近くにまで昇る優秀校であり構内の設備はかなり良い。
学生寮にプール、広いグラウンド、更には漫画喫茶にカラオケボックスと数え切れない設備が星盟学園にある。
が、星盟学園に入学すると卒業まで家に帰る事はできない、そのかわりかなり充実した生活がおくれるのだ。

だが理由はこれだけではない、単純に超能力を憧れる者も居る。

そうこの青年のように

「なんで…なんでよりによって俺だけが能力覚醒しないんだよ…」
青年の頬に一粒の涙が流れる。

前代未聞である。今まで微弱な能力でも様々な人が覚醒してきたのだ。彼のように全く身につかない者は居なかったのである。

青年は小さく嗚咽を漏らす。

そんな中足音がしてきた。階段を登ってくる音である。

「ッ…!ヤベッ…」
青年は慌てて涙を拭き取った。泣いてるところは誰にも見られたくないのだ。
ガチャッと学生寮から屋上に繋がる扉が開いた。

「…月村君…?」
扉を開けたのは見慣れた茶髪の女の子だった。